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野菜で笑顔に!フードロス削減を目指して

今回は、朝日町で2017年から農業を行っている㈱マッキーファームさん(以下、マッキーファーム)の代表である澤井雅樹さんにお話を伺いました。

マッキーファームについて教えてください。

2017年にマッキーファームを設立しました。「マッキーファーム」という名前の由来は、小学校の時の自分のあだ名が「マッキー」だったためそのまま活用しました。

とても良いネーミングですね!
農業を始めようと思ったきっかけは何ですか?

それまで色々な仕事を経験していて、農業を始める前は、二交代制の会社に勤めていました。夜勤明けに実家の農業を手伝っていたのですが、夜勤明けということもあり、寝不足のまま農業をやるのが苦痛に感じたので、それなら農業の道に進もうと思って始めたのがきっかけです。

夜勤明けで農業をされるのは相当ハードですね。いつ頃から農業を本格的にスタートされたのですか?

2015年の3月から約1年間、他の農家さんに勉強へ行って、2016年から個人で農家を始めました。そして、2017年の3月に「マッキーファーム」を設立しました。

もともと、実家の農業の手伝いをされていたということですが、実家を継ごうという考えはなかったのですか?

実家には、兄がいたので継ごうとは思わなかったです。最初は農業をするつもりはなくて、農業はお手伝い程度としか考えていませんでした。もともと、家庭菜園が好きだったのでプランターで野菜をつくるくらいでよかったのですが、なぜか本格的に農業を始めてここまで大きくなりました。
現在は妻と従業員のほか、実家の両親にボランティアとして手伝ってもらっています。

作業の様子

農業を始める前と後で変化した点はありますか?

家族の時間は減りました(笑)。収入面でいうと、年によって良かったり悪かったりするので「やってよかったのかな?」と後悔することはありますね。マッキーファームを設立して1年目が一番よかったです。

そうなんですね。農業は気候に結構左右されるというのを聞きます。
農業をやっていく中で苦労話はありますか?

ちょうど、令和になってコロナが流行ってきた頃から取り返しがつかないレベルでひどいです。コロナが収まったと思ったら、次は戦争で物価高になってしまい、ひどい状態がずっと続いていて今も大変な時期が続いています。

マッキーファームで育てている自慢の野菜について教えてください。

メインで栽培しているのはマッキーキャロットというニンジンです。他には、お米、ホウレン草、キャベツ、ネギ、ブロッコリー、大根、サツマイモを作っています。今年は新たな取組としてタマネギの栽培を始めて、来年6月の収穫に向けて色々動いています。お米はコシヒカリとミルキークイーンを生産していて、来年から「てんたかく」という品種の栽培も始めます。

一番生産量が多いマッキーキャロットの特徴を教えてください。

甘さが自慢です!

マッキーファーム自慢のニンジン

以前、いただいたニンジンを食べたのですが、とても甘かったです!
ニンジンは1年を通してつくられているのですか?

1年を通してつくりたいのですが、富山県は雪国ということもあり、冬に収穫することはできるけれども、冬に植えることはできません。なので、どうしても3月、4月、5月の収穫が途切れてしまいます。

ニンジンは夏と冬だとどちらのほうが美味しいのでしょうか?

冬のほうが夏よりも断然甘くて美味しいです。雪の下にあることで、更に甘みが増してフルーツみたいな感じになります。寒いだけでも甘みは増すのですが、雪の下の方が更に糖度が上がって甘みが増します。

ニンジン以外で冬に栽培している野菜は何かありますか?

今年は大根をたくさん植えたのですが、天候の影響で全く収穫できなかったです。予定だと今頃、大根に埋もれているはずだったのですが、全く収穫できなくて弱っています。20トンぐらい収穫する予定だったのですが、100キロあるかないかぐらいしか収穫できていません。

ずっしりと重みがある立派なダイコン

今年の夏は例年以上に暑かったと思うのですが、何か農作物に影響はありましたか?

とても影響がありました。暑さのせいで売上も恐ろしく下がり、収拾がつかないぐらい影響が出て危機的状況でした。

ニンジンは製品率が良いときもあれば、規格外や破棄が多いときもあると思うのですが、今年はどうでしたか?

今年は規格外もあり、9月から10月上旬まで製品率が0.5%以下でした。最近になってやっと製品率が上回り、約8割まで復活してきました。
目標の生産量が年間200トンなのですが、今年は天候の影響もあって全く収穫できていません。

規格外のにんじん この箱が他に5箱ぐらいあった
立派なニンジンも大きすぎるということで規格外に

規格外のニンジンはどのように活用されていますか?

加工したり、袋に詰めて安く販売したり、飲食店さんに販売したりしています。

例えば、どういったお店にお渡ししていますか?また、どんな商品に加工しているのでしょうか?

朝日町だと寺田鮮魚店さんにお渡ししていて、お惣菜に入っていたり、城山荘の方にもお渡ししています。入善町だと豆腐屋さんにもお渡ししています。
どんな商品に加工しているかですが、ドレッシングやジャム、ジェラート、切り干しにんじんなどに加工して販売しています。あと、要望があれば粉末もつくっています。


にんじんドレッシングに大変身

粉末はどういった場面で使われていますか?

お菓子屋さんにお渡ししていて、クッキーに混ぜてもらったりしています。

色々な製品に加工したり、販売したりされていますね。この取組は、SDGsの目標である「2.飢餓をゼロに」「12.つくる責任 つかう責任」に繋がってきますね。

そうですね。形は悪いのですが、味は一緒なので(笑)。

袋詰めにされて出荷される規格外(訳あり)のニンジン

その他にSDGsで取り組まれていることはありますか?

今は製品率が良くなってきたからあまりないのですが、それこそ学校の給食にも「規格外を何とか使ってくれないか。」とお願いして使ってもらっていた時期がありました。
本来だったら、衛生面的に考えて給食で使用する野菜は、割れてたりすると異物混入といった恐れもあるのですが、「いいですよ」と快諾していただき、使ってもらっていました。

余すことなく利用しているって感じがして良いですね。
ニンジン以外だと規格外の野菜って出ることはありますか?

考えてみると、規格外の野菜はニンジン以外だとあまり無いような気がします。大根でちょっと足が生えてしまって割けて規格外になることはありますが、そこまで多くはありません。キャベツも身が詰まりすぎて表面が割れているものもありますが、4分の1に切って販売したり、千切りにして販売したりするから規格外にはならないです。
そう考えると、規格外は特にニンジンがひどいですね。あとは、サツマイモも小さいとどうしようもならないです。規格外のニンジンも切ってブロックにして販売したら、見た目では分からないです。

最終的には調理してしまうから形の悪さは全然気にならないですし、それこそ味は変わらないですよね。

味は変わらないです。形が悪いから味も美味しくないんじゃないかという人もいますが、全く一緒です。

以前、朝日町の農業分野で活動する地域おこし協力隊が実施した「あさひまちマルシェ」を取材させていただきました。その際に、色々な品種の新米を食べ比べできるブースがあり、そこでミルキークイーンもいただきまして、他のお米よりもモチモチしていると感じたのですが、ミルキークイーンの特徴は何ですか?

モチモチ感と甘みが強いのが特徴です。ミルキークイーンはもち米に近いので、餅が好きな人には特におすすめです。他のお米のコシヒカリやてんたかくとブレンドすることでもちもち感を少し減らすこともできます。
食べ方は、おにぎりにしてもいいですし、弁当に入れてもいいです。具は、とろろ昆布や梅干しなどを入れて食べたらとても美味しいです。炊きたてももちろん美味しいのですが、冷やごはんが最高に美味しいです。

とろろ昆布ってところが富山県っぽくていいですね!

人気のミルキークイーン
(※マッキーファームのホームページで販売中)

現在の農地面積はどれぐらいですか?

38haぐらいです。米に力を入れてやるのならもっと面積を持っていてもいいのですが、その分機械が必要になってきます。農業で使う機械はどれも値段が高いので、面積があれば良いってことではないです。

そうなんですね。今後やりたいことはありますか?

朝日町の宿泊施設や漁業で活動している人たちと何かコラボできないかという話をしています。例えば、2泊3日で収穫体験をして、収穫した野菜と釣った魚を宿泊施設で調理してもらって、そこで食べさせてもらうっていうのをできたらいいなと考えています。
自分の育てた野菜や加工した商品を売っている「ツクツク‼」という総合マーケットプレイスがあるのですが、そこから全国へ発信することができます。また、ウェブチケットやクーポン券も発行できるので考えている収穫体験とかをウェブチケットで発行して募集していきたいです。

そういったショッピングサイトがあるのですね。ぜひやっていただきたいです!都会に住んでいる人には結構需要がありそうですね。
今後の展望や将来の夢を教えていただけたらと思います。

最近は天候の影響もあるので、今まで情報収集してきたデータを基にやりきれる農業をしていきたいと考えています。
あと、もう少し余裕のある農業がしたいです。借金もなくなって楽になれば面積を減らして、転作を他の農家に預けて、ニンジンならニンジンだけを作っていきたいです。野菜で軌道に乗ってしまえば、十分売り上げが上がるので時間的な余裕も生まれます。

現につぶれてしまった農家の状況を見ていると、米農家が一番つぶれているのかなと思います。結局、米の値段に対して設備の値段が釣り合っていなく、機械も買い替える頻度が多いので莫大な費用がかかってしまいます。それに比べると、野菜は1回機械を買ったら中々壊れません。野菜はそこが魅力的だと思います。

農業を始められて結構経ったと思うのですが、農業の良さは何ですか?

新鮮な野菜を食べられること。これが1番だと思います。

作っている人だけの特権ですね。
最後に、これから農業を始めたいと考えている方に向けて何かアドバイスを頂けたらと思います。

まず、体験してほしいと思います。体験することで農業が合う、合わないもあると思うので本当にできるのか見極めてほしいです。うちは全然受け入れオッケーなので、ぜひ体験してもらいたいです!

マッキーファームでは、12月から新たにさつまいもジェラートの販売を朝日町にある「まめなけ市場」やショッピングサイト「ツクツク‼」で開始したそうです。イモ全般が好きな私もさっそく食べてみたのですが、見た目はそこまでサツマイモという感じはしないのですが、食べてみるとサツマイモの風味が口の中いっぱいに広がりとても美味しかったです!サツマイモ好きにはたまらない商品だと思います。
ぜひ購入してみてください!
他にもドレッシングやお米、野菜なども「ツクツク‼」で販売しているとのことです。ぜひご覧ください。

手前:さつまいもジェラート 奥:にんじんジェラート


いろいろな野菜を育てるうえで廃棄になってしまう野菜が出てしまうのですが、余すことなく野菜をドレッシングやジェラートなどに加工しているところがすてきだと感じました。
これからのマッキーファームの活動がとても楽しみです。


マッキーファームのホームページはこちらから


ショッピングサイト「ツクツク‼」はこちらから


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