地元の田舎宿で地元の味を
今回は、朝日町で旅館業を営む城山荘の池田章子さんにお話を伺いました。昭和30年からある城山荘は現在3代目。朝日町を訪れる方は時代を経て変わりつつあるものの、“そこ”にある変わらない城山荘の今を聞いてみました。
章子さんはいつ頃から城山荘に携わっているのでしょうか。
城山荘は代々女性が運営していたので、私の前は主人の母(大女将)が城山荘を運営していました。主人と結婚する際に、「無理に継ぐ必要はないよ」と言われたのですが、代々女性が運営していたので、「とりあえずやってみようかな」という軽い気持ちで始めました。今年で17年目になりますかね。
では、まず城山荘について教えてください。
城山荘自体は昭和30年から開業しています。当時、朝日町で国体があった時、小丸山公園が野球の会場になり、国体選手を泊めて欲しいというお話があり、部屋も余っていたので貸してあげたそうです。その後、先々代女将がこういった商売も良いと感じたらしく、城山荘を開業されたそうです。当時は民宿のような少し大きい民家だったそうです。
どういった方が宿泊に来られますか
釣り、自転車、マラソンやバスケットボール大会への参加、朝日町への帰省など様々な用途で宿泊されますが、多いのは朝日町への観光ですかね。春の四重奏やヒスイ探し、海水浴で来られる方が多いので春~夏期間の宿泊者が特に多いです。昔はビジネスで長期滞在される方が主流だったのですが、最近は観光で宿泊される方が主流になりました。10年程前からネットでの予約も始めたおかげか、海外の方が宿泊に来られることも増え、最近では月に5名程コンスタントに海外の方が宿泊に来られます。
毎月海外の方が泊まりに来られるのは凄いですね。和風部屋はやっぱり落ち着く感じがしますね。
そう言っていただけるのは嬉しいですが、私としては、昔ながらの部屋は、冬の時期は寒いので、リノベーションしていきたいですね(笑)。
昔ながらの家の造りは風通しが良いからかもしれませんね。城山荘でリノベーションしている部分はありますか。
少しずつですが、まず2つあるお風呂や洗面所、トイレなどの水回りと宿泊部屋8つの内の2つをリノベーションしました。お客様に快適に過ごしてもらえるような旅館でいたいですね。
ネット予約サイトを見ていますと料理の評判が良いというコメントが多く見受けられます。料理について心がけていることにはありますか。
料理は私と大女将の2人で作っているのですが、他の旅館のような華やかな飾り料理の技術を持っていないので、私たちが作る料理はいわゆる家庭料理に近いです。宿泊に来られる方には、朝日町に住んでいる方が普段食べて美味しいと感じている料理を味わっていただきたいと思い、地元でしか味わえない素材本来の美味しさを引き出せる料理を心がけています。一見、どこにでもありそうな料理なんですけど、ここでしか味わえない美味しさがつまっていると思いますので、そこを感じていただけると嬉しいです。
あとは、先代、先々代の頃から「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに」食べていただくことを大事にしています。厨房が隣なので調理できたものから順にお出ししています。テレビなどは置いていないので、一品一品味わっていただきたいですね。
地元の食材は何を使われていますか。
お米や野菜、お魚などを町内のお店や農家さんなどから仕入れています。また、大女将が城山荘の裏で畑をしていて、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜、里芋などを栽培していて、調理の際に出た生ごみは畑栽培の肥料になっているので、エコになっているのかなと思います。
お仕事をする中で嬉しかったことはありますか。
料理や地酒が美味しかったと言ってくださる方から、「〇〇がとても美味しかったのですが、どこで買えますか?」と聞かれることがあります。その際は、購入できる場所を教えるのですが、朝日町産の美味しい食材が知られ、広がっていくと嬉しいなと感じます。チェックアウトが早い人でお店が空いてないときは、城山荘にある在庫でよければという形で提供していることもあります。
それはいいですね!アンテナショップみたいです!
あまり宿泊の邪魔にならないよう、聞かれれば答える程度ですが(笑)。でも、お店が空いてないときに城山荘で提供できればいいなとは思います。
今後、取り組みたいことがあれば教えてください。
体験型のイベントに参画していきたいなと思います。昨年、東京の学習塾のこどもたち15人が朝日町に遊びに来て、笹川での川遊びや魚捕り、三峰での夜空観測をして楽しんでいただいたようで。城山荘に泊まっていただいたのですが、次回は一緒に体験の場に行ってお昼ご飯の提供などもできたらいいなと考えています。
朝日町には良いところがたくさんあって、町ぐるみでPRできれば、1組のお客さんを朝日町中で案内できるのかなと思います。