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不用となったハーブを活用して「こころのコントロール」を

リラックス効果が高く、ストレスの緩和や快眠に効果的なハーブとして人気のラベンダー。

朝日町の中心部から南東に位置する小川ダム下流には、ラベンダーを中心とした様々なハーブが植えられている公園「ハーバルバレーおがわ」があります。
このハーブ公園はダムの建設時に副産物として生まれたもので、商用目的の栽培は行っておらず、主にハーブ鑑賞や芳香浴を楽しむための公園となっています。

年に一度のハーブまつり開催時には、フラワーアレンジメントやリース作り体験を楽しむために多くのお客さんで賑わいますが、鑑賞以外の用途では公園のハーブが活かしきれていないという実情がありました。

そこで不用となったラベンダーを、有志で集まった仲間と共に摘み取りアロマオイルやフローラルウォーターにして活用する、まさにSDGsな取り組みをされている朝日町の喫茶店 HYGGE(ヒュッゲ)の店主である直井さんにハーブを活用する取り組みについてお話を伺ってきました。

喫茶店HYGGEの直井さん

-HYGGEさんで作られたアロマはどのように活用されていることが多いのでしょうか。

香りを楽しむものなので、夜よく眠れるように枕元で香らせてみたり、今ならマスクにつけてリラックス効果を得るために使っている人もいます。
やはりこの現代社会はストレスが多い世の中ですからね。

 -こんなに自然豊かな朝日町でも、ストレスってあるものなのですか…?

あるある!やっぱりみんな必ずありますよ。家庭とか仕事とか。育児や介護。何かしらにこころの負担を感じています。
少し香りを嗅ぐだけでも気持ちが穏やかに落ち着くので「自分らしく」いられるように「こころのコントール」に活用している人が多いですね。

HYGGEの店舗に置かれている
アロマオイルとフローラルウォーター

-ハーブ園のラベンダーをアロマとして活用する取り組みを始めたきっかけを教えてください。

今から5年ほど前、朝日町観光協会から「ハーブ園の摘み取ったラベンダーを使い手がないから廃棄しているんだけど、何か活用できないか」という話があって、そこから活動が始まりました。

-ラベンダー以外にも様々な品種のハーブが植わっていますが、なぜ他のハーブではなくラベンダーを活用することになったのでしょうか。

他のハーブは観光客が摘み取って行く分だけで無くなっていくけれど、ラベンダーだけはどうしても余ってしまっていて。
半日がかりで収穫するラベンダー60kgからやっと600mlの精油が取れる程度で、加工をするにもすごく手間がかかるものなんですね。そういった手間をひとつひとつのハーブにかけようってなるとどうしても難しいのが現状です。

ラベンダー摘み取りの様子

なので、まとまった量が採れて、加工品として手をつけやすいラベンダーから一旦取り組みを始めてみようとなりました。現在5、6年目でようやく軌道に乗ってきた感じですね。本当にはじめは「とりあえず」の勢いで始めたんですよ。

 -それから今も活動が続けられているということは、お客さんからも好評だったということですよね。

そうですね。そこからわたしもアロマの勉強を始めて、朝日町の人でもアロマオイルを使う人が多かったので、少しずつ浸透していきました。

-この取り組みの中で苦労された点があれば教えてください。

ハーブに関する勉強はしてきていたけれど、またアロマというのは全く別のカテゴリーのものなんですね。なのでラベンダーにはどんな成分が入っていて、それが人体にどういった影響を及ぼすのかを、一から学び直す必要があったので大変でした。

1杯のハーブティーよりも、5mlのアロマの方がすごく濃い成分が入っているので、使い方に関してはアロマは特に注意が必要なんです。

 -このアロマオイルはどこで手に入りますか。

店頭で販売しているのは、HYGGEの店舗とホテルおがわ。
メインはふるさと納税返礼品になっています。
ふるさと納税を介してたくさんの人に知ってもらえたら嬉しいし、町のものを使わせてもらって町に貢献できる好循環ができているのかなと思います。

ふるさと納税の返礼品として人気の
ラベンダーオイル&ディフューザーセット


 -他にもハーブ園には活用できそうなハーブがたくさんありますよね。何か考えられているアイデアなどはありますか。

わたしから見るとあそこは宝庫ですよ!衣食住すべてに活用できるものが、あのハーブ園に眠っています。

 -何かひとつ「このハーブを使いたい!」といったものがあれば教えてください。


今年から新たに植えていたエキナセアを活用したいですね。あれはすごく免疫機能を高める効果があって、ドイツではインフルエンザにかかったら、エキナセアのお茶を飲んだりする場合もあるくらいなんですよ。

エキナセアの花

あとハーブ園にあるハマナシの実は「ビタミンCの爆弾」と言われていて、とても栄養が豊富で、ジャムにしたりシロップ漬けにしたりできるとても有用なハーブなので活用したいですね。ビタミンが豊富なので美容やアンチエイジングにも効果的です。

ハマナシの実


 -現在朝日町のSDGsへの取り組みに焦点を当てて取材しているのですが、HYGGEで行なっているSDGsに関する取り組みは他に何かありますか。
ちなみに先ほどから気になっていたのですが、あれはなんでしょう…?

筆者が取材時に気になっていたもの

あれはトウモロコシの皮を乾燥させてコースター作りをしようとしているんです。皮を裂いて縒っていくと繊維が一つの紐になるんですね。その紐でコースターとかカゴを作ろうと思っています。

丈夫な紐になっていく様子

-素敵!まさにSDGsな取り組みですね!

プラスチックの紐を使うよりも、この紐を代用してちょっとしたものを縛ったりするのに使うのもいいのかなと思います。
あとうちのお店はプラスチックのストローはやめて、紙のストローを使っています。プラスチックのストローに比べると値段は高いけれど、将来のことを考えてプラスチックごみの削減はしていきたいですからね。

サトウキビ繊維を原料とした紙ストロー

他にも、お店で提供するものは地元の麹屋さんの甘酒を使ったり、泊漁協さんで採れた天草を煮出した寒天でデザートを作ったりして、なるべく地元の食材を使用するようにしています。

輸送にかかるコストや燃料を削減するためにも地産地消を心がけていますね。

-最後に今後取り組んでいきたいことがあれば教えてください。

いま「和のハーブ」に興味があります。

お店で提供しているハーブは世界中で活用されている素晴らしいものなんだけれど、燃料が高騰したり円安になったりすると、今まで当たり前に入ってきたハーブが入ってこなくなったり、すごい値上げをする可能性がありますよね。それこそ世界中から運んでくるガソリン代とかも地球への負担の一つなのかなと思いますし。

日本人が使ってきた、日本のものっていうのをもう一度見直して使えないかということで、いま改めて勉強を始めています。
例えば、ヨモギとかドクダミとか。紫蘇、わさび、紅花、菊など江戸時代くらいから使われている「和のハーブ」はたくさんあるんです。

現在HYGGEで作っているドクダミのチンギとオイル

ずっと昔から日本人が日本人のために日本で採れたものを使ってきているから、そこをもう一度活用していきたいなというのが今後の抱負ですね。

 -お話を聞かせていただき、ありがとうございました。HYGGEさんが行っているSDGsに関する様々な取り組み、ユニークなものが多く非常に勉強になりました。和ハーブが使用された新メニューも楽しみにしております!


ハーブと喫茶 HYGGEの基本情報

住所:〒939-0742 富山県下新川郡朝日町沼保925
営業時間:10:00~17:30  
電話: 0765-32-3818
定休日:毎週 日、月曜日
駐車場:7台
HP:http://www.herbandcafe-hygge.com/

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