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日本初のマイカー乗り合い交通「ノッカルあさひまち」が生み出した住民への暮らしの変化


朝日町には、みんなで助け合う「お互いさま」の気持ちがあります。

そんな住民同士の助け合いの気持ちをカタチにした交通サービス「ノッカルあさひまち」は今月で運行開始1周年を迎えます。


今回は、サービス開発当初からノッカルに携わっている役場住民・子ども課の小谷野さんに詳しく話を聞いてみました。

公共交通分野を担当する朝日町役場 住民・子ども課の職員
写真左:小谷野さん 写真右:朝比奈さん

※車両は臨時運行時にも使用する公用車

ノッカルあさひまちとは

-まずノッカルを知らない方に向けて、ノッカルがどういったサービスなのか教えていただけますか。

小谷野:ノッカルは、住民同士の助け合いで成り立っている新しい公共交通サービスです。

一般住民のドライバーさんのマイカーを使って、お出かけのついでにご近所さんを送迎するサービスで地域住民同士の助け合いによって成り立つ仕組みとなっています。

片道1人当たりの料金はバス回数券3枚(600円相当)で利用ができます。
また2人以上の相乗りで利用した場合には、バス回数券2枚(400円相当)で利用できる割引が適用されます。


-ノッカルは朝日町、博報堂さん、SUZUKIさんが協力して開発されたサービスであると聞いていますが、サービスが生まれたきっかけを教えてください。

小谷野:博報堂さんはメイン事業として広告を行っているのですが、広告外の領域で「生活者の課題を解決したい」という思いで全国を視察で回っていたところだったんですね。

そのなかで、富山県が行っているコンパクトシティの取り組みのため博報堂さんが富山県に来る機会があって、その時たまたま朝日町の人と繋がりがある社員さんがいたため、せっかくなので朝日町の話も聞いてみようかということで朝日町に立ち寄られました。

当初はヒスイテラスや春の四重奏などの観光地を繋ぐ交通の整備といった「観光」の面で朝日町のために何かできませんかということでいらしていたのですが、町長や公共交通の担当者と話していく中で「観光よりも高齢者の生活の足となる交通の方が現状の課題として重要」という話が出てきました。
そこから本格的に生活のことで新しいサービスを作らないかと検討の段階に入りましたね。

昨年10月に行われた
ノッカルあさひまち本格運行記念セレモニー

-本格運用開始から1年が経ちますが、利用者さんからはどのような声があがりますか。

小谷野:今までバスとかタクシーだけだと、地区によって本数が少ないため好きなように外出ができなかったけど、ノッカルができて友達と会う機会が増えたと嬉しい声を聞くことができました。

中にはノッカルができて10年ぶりに外出ができたおじいさんもいたんですよ。

-10年ぶり?!それまではどうやって暮らしていたんでしょうか。

小谷野:そのおじいさんと奥さん、息子さんの三人で暮らしていて、基本的には息子さんが買い物とかは行くから生活はできるけれど、自分が外に出るという機会がなかったそうです。

その後、その方はアクティブユーザーとして利用されているわけではないのだけど、一回でも外出をするきっかけを作れたことは大きな成果かなと思います。

あとは腰が悪くて整体に行きたいけれど、以前は自宅から健康施設らくち〜のまでの直通バスがなく乗り換えが必要で困っていたところ、ノッカルによって直通で気軽に整体へ行けるようになり健康に繋がったという利用者さんもいらっしゃいました。

-活躍されている一般住民のドライバーさんにやりがいを感じてもらえる機会が多いのではないでしょうか。

小谷野:そうですね。「ありがとう」と言ってもらえるだけでも嬉しいし、お友達同士で乗ってくるお客さまたちが楽しそうに会話をされている様子を見れるだけでも嬉しいと言って、快くご協力してくださっている住民ドライバーさんも多くいらっしゃいます。

-ノッカル運行を開始してから1年が経過して生まれた変化は大きいですか。

小谷野:ノッカルの担当者としては、住民の方がノッカルというものに親近感を持ってもらっているというところは大きな変化だなと感じています。
はじめは「ノッカル」って何なんだというところからのスタートでしたが、今では「ノッカルさん」と親しみを込めて呼んでいただけることも増えてきました。
続けていくことで少しずつ定着していくんだなと実感していますね。

-今後の取り組みの一つとして「こどもノッカル」が始まるということですが、始めるにあたって何かきっかけがあったのでしょうか。

小谷野:町内の小学生と話すなかで、親に送迎の負担をかけたくないから習い事にはいけないと言った話を聞いたんです。

そういった移動が理由で子どもの夢を諦めるようなことがないようノッカルで解決できないかなと考えて、子どもと子育て層にスポットを当ててこどもノッカルをやろうということになりました。

将来的には30〜40代の子育て層の住民がノッカルに関わってくれることで、これから先に子育て世代の人たちがノッカルのドライバーになることとか、自分が利用する側になったときにも使いやすくなるかなと、長期的な視点で考えての目的もあります。

また現状ノッカルは高齢者の移動手段に傾いていたんですけど、実際は町内での利用者さんは特に世代を問わないので、色んな層の人に公共交通を使ってもらいたいという思いもあります。

-最後にノッカルについて、読者の方にメッセージがあればお願いします。

小谷野:いつも使ってくださっている利用者さん、運行をしてくださっているドライバーさんへありがとうございますと感謝の気持ちを伝えたいです。住民の皆さんの協力があってこそ成り立っているサービスになるので。今後もこの輪がもっと広まって欲しいなと思います。

-お話を聞かせていただき、ありがとうございました。まさに朝日町の「お互いさま」の精神によって成り立っている素晴らしいサービスですね。今後ノッカルあさひまちが成功モデルとして広まって、全国の課題解決に繋がっていくことを楽しみにしております。


▽ノッカルあさひまちの会員登録・お問い合わせはこちらから


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